立て続けの音楽家の訃報にたいそう気が滅入る。音楽は絵画と異なり作品が形になって残らない所為か訃報即その人の音楽の終焉のように思えて、気が気ではないのである。どうしても嘗ての様々な場面の音の片鱗を思い起こしてしまう。二十余年前の大阪フェスティバルホール、大フィルにご夫妻で客演した折りに後半の出し物、レスピーギのローマ三部作に使う通奏低音オルガンの調整でお供をさせていただいた。幼少の砌、憧れた指揮者の筆頭格は世界に飛び出していった岩城さんだった。9月のN響横浜定演で武満を振る予定で久々にききたいと思っていた矢先の今朝の訃報はあまりに突然であまりに残念だった。時の移ろいを感ずるとともにあぁ、気が滅入る。